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Vashti Bunyan:Daimond Day
人は生きているうちに言葉では言い表すことのできない美しい事象に出会うことが幾度かあるだろう。
そして、このVashti Bunyanの音楽もその事象の1つであろう。彼女が70年にひっそりと出したアルバム"Just Another Diamond Day"はまるで、おとぎ話の世界にでてくる、妖精たちのような、淡い輝きに満ちた宝石箱のようなアルバムである。
彼女は60年代にRolling Stonesのマネージャーで以前紹介したDuncan Browne等が所属していたImmediateレーベルのオーナーであったAndrew Loog Aldhamに見出されてデビュー。このときは、Rolling Stonesがサポートしており、また彼女自身もImmediateレーベルのTwice As Muchのアルバムにゲスト参加等もしていた(この辺りの音源は2007年の"Some Things Just Stick In Your Mind"に収録されている)。
そして70年に前述の"Just Another~"を発表。この作品にはFairport ConventionやIncredible Strings Band等のメンバーが参加した豪華だが、素朴な雰囲気に包まれたフォークアルバムであった。しかし、商業的に失敗。彼女はそのまま音楽界から姿を消すこととなる。
後年になって、その音楽は高く評価されるようになり、「幻の歌姫」と呼ばれるようになる。そして、2000年代、フリーフォークの旗手Devendra Banhartの尽力により、05年に"Lookaftering"を発表して大復活。07年には来日も果たした。
"Just Another~"はとかく美しいアルバムである。聞けばたちどころに田園風景や、物語に出てくる山奥の村の光景が目に浮かぶであろう。彼女の声はそれこそ妖精のようにはかなげでありながら芯の通った所感じさせ、より、いっそう指輪物語などの物語を想起させるような世界を作り出すのだ。
ついでにアニメつきも。一つはキュートなきり絵アニメ。もう一つはファイナルファンタジーの映像と組み合わせたものです。
Scritti Politti : Wood Beez (Play Like Aretha Franklin)
80年代の英国は、エレポップ全盛期であると同時にファンク、ソウルの影響を前面に押しでたバンドが多く出てきた時代でもあった。Style Council、The Pop Group、Simply Red、The Brow Monkeys等がその代表だろうか。そして、エレポップ+ファンク、ソウルといったサウンドを探求したバンドも多い。Heaven17、Thomas Dolby、Thompson Twins等がその代表か、また、Duran Duranもそのくくりに入る。
そして、エレポップ+ファンク最大の好例の一つがScritti Politmatiであろう。Green Gartsideを中心に結成。82年にアルバムデビュー。このときはまだ、エレポップではなかったが、もともとCAN等が好きだったという彼の斜に構えまくった姿勢のアートスクール気質が全開であった。
セカンド・アルバム制作にあたり、黒人音楽の本場、アメリカにうつり、そこで、David Gamsonや伝説的なアヴァンギャルドバンド、MasacreのメンバーだったFred Maherと合流。さらにプロデューサーにArif Mardinを迎えてついにセカンド"Cupid & Psyche 85"を完成。このアルバムはいまだ、80年代最良の名盤の一つとして語られる大傑作となった。エレポップとファンク、ソウルが高次元で結合、非常に肉体的なファンクでありながら、ワイルドな印象は与えず、また、エレポップでありながらもピコピコとゆーよりもきらきらとした不思議な音で、全体として美しいしなやかなイメージのサウンドに仕上がっており、まるで大理石の彫刻のよう(意味不明)。このようなサウンドは現在においてもなかなか聴けない。英国音楽+米国音楽の最大の成功例であろう。また、Greenの声も独特で、一度聴くと忘れられないものだ。あと、彼の見た目は現在だったら間違いなく「グリーン様」とか「~王子」と日本で呼ばれてであろう。現在は超寡作ながらも活動中。
この曲はそのセカンドに収録されている代表作。最初のドラムスから力強いが、彼の声が入ると一気にどこか柔らかなかんじになるからふしぎだ。ギターがいい味出してる。
Bruford - Hell's Bell's
この人に関しては改めて紹介する必要無いかもしんない。70年代英国ロックシーンを代表する超名ドラマー、Bill Bruford。僕はこの人のドラムの音が大好きだ。あのスネアの音は彼以外では味わえない。「カーン」とゆーあのとてつもなく抜けのいい音を聞くと、気分がすかっとなる。しかし、現在はもう引退していまったそうだ。個人的な願いとして、YESと共演してほしかった。あまりにも残念なことだ。Phil Colinsももうドラムが叩けないそうだし、カンタベリーの名士、Robert Wyattも、若き日に半身不随になってドラムが叩けなくなった。ドラマーとゆーものは、活動期間の短いパートなのだろう(それだけ体を酷使しているのだ)。
さて、彼は、YES、King Crimson、Genesisなどのプログレバンドに参加した後、前に紹介した、Hatfield&The NorthのDave Stewertや後にともにUKを結成するAllan Holdworth、アメリカ人べーシストのJeff Berlinとともにソロアルバム"Feels Good To Me"を発表。その後UKを経て、同メンバーでBrufordを結成した。いわゆるカンタベリー系に近いサウンドであるが、よりソリッドで、ポップなサウンドは今聞いても古臭さが全くなく、むしろ新鮮に響く。まさに、驚異の普遍性を持った作品を送り出した。
紹介曲はこのバンドのファーストである"One Of A Kind"に収録。しょっぱなから機関車のようなど派手なパーカッションで始まり、Stewertのなめらかで鮮やかなシンセが踊る。そして、Brufordの活気に満ちたドラムが炸裂する。各々のプレイも強烈。ここまでかっこいい音楽はほとんどないだろう。ちなみにこの動画は表題曲の一部も収録。
The King Of Luxemburg: Flirt
「お金持ちの王様が、税金対策としてやっている音楽活動」・・・・・と、ゆーのが、Simon Fisher Turner扮するこのThe King Of Luxemburgのコンセプトである。
彼はもともとTVの子役としてデビューした俳優で、デヴィッド・ボウイのカヴァー曲で歌手デビュー。その後は俳優として活動を続けるが、肌が合わなかったのか、次第にフェードアウト。その後、The Sex Pistolsに触発されて音楽と再び関わりを持つようになり、The Soft BoysやAdam&The Antsのマネージャーをやる傍ら、The Theのメンバーになったり、女装ユニットDeux Filles等、様々な活動を行う。
その頃,映画監督のDerek Jarmanのサントラを手掛けていたところで知り合ったミュージシャンたちと、宅録ユニットとしてこの「ルクセンブルグ王」をスタート。この奇妙なコンセプトに目をつけたのは、80年代のさまざまなレーベルの中でも特に強烈な美意識を放っていたelレーベルのオーナー、Mike Alway(この人もThe Soft Boysのマネージャーだったので知り合いだったかも)である。彼の目指す、貴族趣味的なポップ感覚とマッチしたのであろう。
87年に(ちなみにSimonは当時既に30代後半だった)デビュー・アルバム"Royal Basturd"を発表。カヴァー曲が中心で、The MonkeysやTheTurtles、果てはPILまで、さまざまな楽曲を緩やかだがかなりゆがんだ奇妙な雰囲気に仕立て上げた。あまり売れなかったが、80年代屈指の奇盤として名を残した。その翌年に"SIR"を発表。オリジナルが中心で、前作ほどのゆがみは無いが、洗練されいかにも英国的なウィットとユーモアに富んだアルバムとなった。
その後、この名義での活動はしなくなり、本名名義でDerek Jarmanのサントラ等を手掛けるなどを行っている。また、現在のMike Alwayのレーベル、ifでLoveletter名義で作品を発表したりしている。
とにかく、この人のサウンドは変である。いわゆるアングラ的な変さではなく、ポップだけどどこか自閉症じみた、妙な浮遊感があるのだ。これはelレーベルのだいたいのアーティストにも当てはまるが、この人がやはりダントツにゆがんでいる。とくにヴォーカルは原マスミ、たま等に近いインパクトを持つ。
紹介曲は"SIR"のオープニングを飾る曲。しょっぱなから気が抜けるようなトランペットが炸裂(アルバムの後半で使いまわされてる)そして、ロックぽく決まったかと思うと、彼のへろへろヴォイスと妙に古楽っぽいギターと怪しいオルガンの音が入る。聞けば聞くほど気が抜けてくる変な一曲。クラシック好きにもおすすめww
山口美央子:月姫~moonlight princess~
80年代はアイドル全盛時代であったことは誰もが認めることであろう。松田聖子をはじめとし数多くのアイドルが、ヒットを飛ばしまくった。そして、そんな中でもうらアイドルとも言うべき存在も数多く存在したことも事実である。越 美晴を代表とし、サンディー、ラジ、以前紹介したスーザン等がその代表だろうか。そして、今回紹介する山口美央子もそのうちに入る存在といえる。
80年代にアルバム「夢飛行」でデビュー。山口小夜子を思わせる(というか結構似ていて、もしかしたら芸名なのかも)その和を感じさせる雰囲気と、オリエンタルな曲調で、「シンセの歌姫」というキャッチフレーズで売り出された。彼女自体、ソングライターとしての才を持っており、売り出され方も、アイドルとしてではなく、80年代の矢野顕子や大貫妙子としてと思われる。実際、彼女の書く曲はかなりメロディがよく、編曲でも矢野顕子と共通する点が多い。
ファースト、セカンドは80年代を代表するアレンジャーの井上鑑がプロデュースを担当、YMOでおなじみ松武秀樹も参加・・・・するも、オリコンにかすりもせず。その後、一風堂(ラーメンではない)の土屋昌巳がアレンジを担当、最高傑作といわれるサード「月姫」を発表。コーセー化粧品のキャンペーンソングとなった「恋は春感」がヒット。今作も一応のオリコンチャートイン入りを果たす。アルバムも土屋昌巳関連でのマスト・アイテムとして評価が高い。
しかし、その後も鳴かず飛ばずで、ベスト盤を出して歌手としては引退。職業作曲家となり、今井美樹などに楽曲を提供、さまざまなヒット作を手がけ、現在も活動中。
彼女の書く曲は、前述通り、非常にオリエンタルで、YMO、一風堂と並べて語ることも可能であろう。歌声は優しく囁くような感じで、楽曲と上手くマッチ。ただ、少々単純でそこで好き嫌いが分かれるか。
紹介曲はサードのタイトル曲で、同時期の土屋昌巳の楽曲にかなり近い作風だ(アレンジ担当だからな・・・・)。かの有名同人ゲームと同名だが(動画もそれに引っ掛けてる)、関係は無いと思われる・・・・が、雰囲気としては意外とマッチしてたりする。80年代の佳作。
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twitterもやっており、moonlighttokekと名乗っている。