最近、ミッカがやけに暗い感じだ。
いつも物静かだが、重い雰囲気を身にまとうようになている。
みんなでレコードの観賞会をしても来なくなってしまった。
ある日、少し整理しようと、書類入れを覗くと、何日か前の新聞があった。
そこにこんな記事が書いてあった。
「稀代の楽士、死す」
さほど大きな記事ではなかったが、そこに目が奪われてしまった。
彼はべーシストだった。
彼は以前から、癌を患っており、その治療に奮闘していたが、結局、病魔の前に力尽きてしまったのだ。
20代ぐらいに初めてべースを手にしたという。もちろん最初は全く弾けなかった。
しかし、それにめげず、独自の弾き方を編み出した(彼はその弾き方に自信がなかったという)。
その弾き方は聴く者の耳をとらえて離さなかった。まるで地を這うよう蛇のように迫る、その音は同業者にも魅力的なものだった。
さまざまな名楽士たちと演奏を続け、最初の下手だった評価を完全に気し去って見せたのだった。
そういえば、ミッカは事あるごとに彼の名前を口に出していた。
彼女はよく「師匠」ともいっていた。
彼女の目標だった。
彼女の心の師匠。
その名はMick Karn
弾いている曲は
Sensitive
R.I.P,Mr.Karn.......本当に素晴らしいミュージシャンでした。あなたとあなたの音は絶対に忘れません・・・・・。
パンク勃興時のニューヨーク。このあたりからパンクとは一線を画す一大ムーブメントが発生した。
ふつう、演奏が下手なアバンギャルドというものは単なる自己満足に終わってしまうことが多い。ただただノイズ、不協和音のみで訴えるものがない、頭でっかちの音楽だ。上手い人がやってこそがアバンギャルドといえる(例としてHenry Cow、山下洋輔など)。しかし、NY発のこのムーブメントは、演奏が下手な前衛であるにもかかわらず、鬼気迫る勢いでこちらに迫る。むき出しの感情、鋭い感性、すさまじい執念。テクニックはなくとも聴く者に異様な感情をわき起こさせる。
この一大ムーブメントを巻き起こした一派を、人はNo Waveと呼んだ。そして、それを総結集させた名盤が"No New York"であった。プロデュースはあのBrian Eno、元祖素人ミュージシャンである。
このムーブメントが生んだ功績は多大で、Teenage Jesus & The JerksのLydia Lunch、The ContortionsのJames Chance(White)等の才能を輩出し、また、この2人がそれぞれのバンドに在籍していたレック、チコ・ヒゲは後にフリクションを結成し、日本のアンダーグラウンドロックシーンを大いに沸かせた。
しかし、No New York勢の中で最も世界的な成功を収めたのは、今回紹介するDNA在籍のArto Lyndsayとイクエ・モリではないだろうか。
DNAの音楽は非常に独特だ。感触としてはロックなのだが、 ほかのバンドと比べると、よりアート色が強く、かなりジャンル分けしがたい。リーダー格のArtoはギターとボーカルを担当しているが、まともに演奏する気はさらさらなし。ひたすら、ギターをガチャガチャいわせ、うめき、がなる。ドラムスのイクエ・モリは呪詛的な、ルーツのわからぬビートを打ち鳴らす。この二人は全くの未経験だそうだ(しかも、イクエは全く英語が話せなく、意思疎通はジェスチャーと筆談だったという)。ぶんだけだと、聴く気を失くすかもしれないが、そこから発せられるエネルギーはすさまじく、自己満足の世界に終わらせていない。むしろ、強引なまでに相手を説得しようとしているかのようだ。またベースはもともとPeru Ubuに在籍していた人物で、彼らの音楽をロックたらしめる要素をになっている。
解散後、ArtoはAmbitious Loversを経てソロとして活動中。坂本龍一とコラボを行うなど、かなり精力的だ。ガチャガチャとかきならすギターの音は相変わらずどころか、貫禄すら漂わせている。
イクエ・モリはラップトップによるエレクトロミュージシャンとして活動。現在までにHenry Cow関連のミュージシャンやヒカシューとコラボレーションしており、こちらも精力的に活動中。
今回紹介する曲は彼らの代表作で、比較的聞きやすい部類のもの。これと同名を冠したバンドが現在、活動中。ちなみにこれは映画からの抜粋。
ふと窓を見てみると、月が青く光っていた。
青い月にまつわる話を聞いたことがある。
ずーっと前のこと、あるところに、その地方では有名な上流の貴族がおり、一人娘がいたそうだ。
その子は猫が大好きだったのですが、肝心のお父さんが猫嫌いで、なかなか触らせてくれません。
なんとか、猫に会おうとしても、周りのものがその場から話してしまうのです。
しかも、彼女の部屋にある、猫のぬいぐるみや写真や絵も捨ててしまいました。
彼女はいつも悲しそうな顔をしてしまいました。
ある日、彼女の部屋の下に一匹の黒猫が入ってきました。
「やぁやぁお嬢様、どうもこんばんわ!!」
「わぁ!!猫さん!!会いに来たんだ。」
「うむうむ、お嬢様は我々のことを愛しているのにあわせてもらえない。お嬢様の悲劇は我々にもよーく、知れ渡っております!」
「どうやって、ここに来たの?ここ、凄い警備なんだよ?」
「我々の手にかかれば、人間どもの目何ぞ簡単にう繰り抜けられる!」
「すごーい!」
「おっと、お嬢様、我々にはあなたに伝えたいことがあってきました。」
「なーに?」
「あと一週間後に月が青く光る日がやってくる。そのひ、我々はあなたをお出迎えして、我々の世界へと連れて行こうと思っているのでございます!!」
「やったー!!」
「お静かに、このことが親に聞かれたら、面倒なことになりますぞ、では一週間後にお会いしましょう。」
こう言って、黒猫は去りました。
彼女は一週間、ずっとそわそわと、楽しみに待っていました。お父さんに悟られまいと努力しました。けれども、こどもだったので、どうしても少なからず、気持ちがあらわれてしまいます。
怪しく思ったお父さんはより一層警備を強化し、周りにいる猫という猫を追い払いました。
そして、一週間がたちました。
月が青白く輝いていました。
彼女はわくわくしながら、窓の外を見ました。お父さんは不安そうに窓の外を見やりました。10時の鐘が鳴った時です。町の方から何やら悲鳴が巻き起こりました。館の者はみんな町の方を見ました。
見ると、地面が動いていました。それがだんだん館に近づいてきました。
ついに屋敷の前まで迫りました。それは、何千、何万という、猫の大群でした。警備していたものは銃をとりましたが、あまりの恐怖に引き金をひけず、逃げて行きました。
群は館の中に入りました。一直線に娘の下に向かいました。お父さんがとめろと叫んでも誰も止めることができませんでした。ついに部屋に到着しました。
「お嬢様、この上にお乗りください!」
「わあ!ほんとに来てくれたんだ!!すごーい!!」
娘を乗せた猫たちは屋敷の外に出て月に向かって走り出しました。
お父さんは叫びます。
「どうして!!どうして我が娘を連れてゆくのだ!!」
「ふん、貴様のやったことの仕返しだ!我が女王さまの力を利用しようとして無理やりさらい、姫をうませ、力を失くしたとたん殺したことはまだ忘れぬ!!これはまだまだその一端にすぎぬ!!復讐はまだ終わらん!!!」
黒猫はこう言い放ちました。
そして、娘と猫の大群は月へと消えたのだ。
と、まぁこんなはなしである。
そういえば、ロビーには猫耳の上品な印象の女の子が来ている。とってもかわいい、とだけ書いておこう。
もしかしたら、Dr.Feelgoodと聞くと、Motley Clueの名前を浮かべるかもしれませんが、別もんです、バンド名です。
70年代イギリスに勃興した(・・・というか、同じような感覚が同時期にたくさん出ただけな気も)、パブロックというジャンルがある。その名の通り、イギリスの居酒屋、パブでの活動を中心としたバンド群である。代表的なものは、Nick Lowe、Ian Dury&Brockheads、Elvis Costello、Dave Edmands、Squeeze辺りだろうか。その中でも最もパンクと直結するのはこのバンドではなかろうか。
Lee BrilleauxとWilko Johnsonを中心に71年に結成。各地のパブを中心にライブ活動を展開。そのステーいはとにかく危ない雰囲気を漂わせ、ごつごつとしたR&B、ブルースで聴くものを圧倒させた。とりわけ、Wilkoの「剃刀」「マシンガン」と例えられるような切れ味鋭いギターは非常に特徴的で、後々のロックバンドに多大な影響を与えた。
「Down By The Jetty」「殺人病棟」等の名盤を送り出すが、メンバー間の中が悪くなり(どうやらWilkoが全然酒が飲めないことが要因らしい)、Wilkoが脱退。以後。Leeを中心に活動を続けるが、94年にLeeが死去。現在もバンドは存在するが、オリジナルメンバーが一人もいないという状態である。
それにしてもWilkoのギターがかっこいい。「ガガガガガガガ」としか表現できないごり押しのギターがかっこよすぎる。後のGang Of Fourや、ルースターズ、シーナ&ザ・ロケッツも多大な影響を受けたのも納得できるかっこよさ。Leeのヴォーカルもギャングっぽく不敵な感じでグー。
紹介曲はファースト収録の代表作。とにかくリズムが腰にぐっとくる。絶対聴くべき。
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