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最近、同じ階からきれいなギターの音色が聞こえる。
けたたましくギターを弾けば、苦情が来るのだが、あんまりに美しいものだから、みんな聞き入っちゃってて、だーれも何にも言わないのだ。
このギター弾きは前に一度だけ、ちらっと挨拶にきたぐらいで全く会話したことがない。
「今度引越してきました、城野まるです。今後ともお付き合いよろしくお願いします。」
といってクッキーの箱詰めを持ってきたのだ。長髪で、少したれ目で、とてもおしとやかな印象の人だった。
「あ・・・そーだ、クッキーのお返ししないと。」
チョコレートのロールケーキを持って、ギターの音が流れる部屋に向かった。
とんとん
「はいはい~、あ、長月さ~ん」
「あ、え~と~、この間のお返しを~持ってきました~」
「え!ありがとうございます~。」
ギターを持っている城野さんはとても美人で僕は全然目を合わせられなかった。
ギターは12弦のなかなかごついものだった。
「じゃ、一緒に食べましょうよ~」
僕は驚いてしまった。もちろん、遠慮しようとしたけど・・・
「そんなぁ、遠慮しないで~」
と押されたので、お言葉に甘えて、入ることにした。
部屋の中はベッドと本棚、テーブルしか家具がない質素な部屋だった。
「長月さん、紅茶ですか?コーヒーですか?」
「あ、コーヒーで・・・」
僕と城野さんの2人でロールケーキを食べながら会話した。
「城野さん・・・ギターうまいですね。」
「そんな事ないですよ~。あと、わたしのこと、まるって呼んでください」
「え、あ、はい・・・」
僕は緊張していた。ま、こんな状況になれば、緊張しないやつはいない。
「んじゃ、ギター弾きましょうか?」
「あ、いいんですか?」
「当然です。」
まるはクスッと笑ってギターを抱えた。そして、弾き始めた。
右手を動かすたびに、泉のように音がどんどんと湧き出してくる。
コードをおさえる指は流れるように動き、情景は万華鏡のように変わってゆく。
まるで、水晶の世界にいるような気分になる。
テンポもどんどん変わり、ときにゆったり、ときに激しくなった。
ギターのテンションも高くなっていった所で
「とう!!」
と、いきなりまるが上着を脱いだ。
「のわあああああ!?」
「ふふ、びっくりしましたか?」
・・・・・はっきり言って、ものすごくペタンだった。と、ゆーかどー見ても男らしい筋肉の付き方をした体だった。
「下も見ます?」
「な・・ななななにいきなり脱ぐんですか!!ってゆーか、へ、え?もしかして・・・・」
「うん、男の子。大丈夫、女の子の方が好きだから。」
僕は動揺しっぱなしだった。
「な・・・なぜにいきなりカミング・アウト?」
「う~んこのままでもよかったけど、聞き入ってる君を見ていると、驚かせよーかなぁって、魔がさしちゃった。」
まるはまたクスッと笑った。
・・・・・・・・多分、この出会いは一生忘れることはないと思う。
「ふぅ」
僕は窓辺に佇んでぼーっと夜景を見ていた。
僕は現在、アンドロメダ・ハイツとゆー所ですんでいる。
この風変わりな名前は、建てた人がアンドロメダまで届くような建物にしようとしたことが由来らしい。
それ故、この建物はかなり高く、上の方に行くと星がすぐ隣にあるように感じる。
そこの2階に僕は間借りしている。
もちろん、他にもいろんな人が住んでいる。
でも、そこに住んでる人は大概、自分を養子にしてくれる人を探していて、すぐに出てってしまう。
僕はこの建物の中で1番の古参となっていて、本当は親が管理人をしているのだが、一応管理人の立場にいる。
「いよう」僕と同じくらいの古参のじゅんたが話しかけてきた。調子のいいやつでキンキン声でよく話しかけてくる。
「まぁた売れない曲でもやってんのかい?」
「うるさいなぁ」
「才能ないのによーやるよ」
「好きでやってんだからいいだろ」
「ま、せいせいしなよ」
1年ほど前から、トップアイドルの初音ミクと巡音ルカが、「息抜き用の隠れ家」として1室を借りている。僕はもともと音楽が大好きで、いくつか曲を書いてたので、駄目もとで「ヴォーカルをしてほしい」とたのむと「いいよ」と2つ返事で受けてくれたのは感激だった。
一応、「マッチ箱レーベル」として曲を出しているが、売れたためしがなく、申し訳がないと思っている。
それでも本人は「遊びでやって楽しんでるから大丈夫」と言ってくれた。一応、僕の方が年上だが、精神年齢はあっちの方がずっと上である。
「はぁ」
才能ない・・・・・はっきり言って、何度もそー思っている。でもそー考えてやめるのは自分の意に反する。何度も「才能はある」と言い聞かせて今までやってきたのだ。
「こんばんわ~」ちょっと年下のももが話しかけてきた。
「こんばんわ」
「まぁた、悩んでんのぉ。悩んだってもショーがないでしょぉ」
「いや、そーゆー訳では・・・・・」
「そんな時はみんなで食べるのが1番!!1階の広間で鍋をするんだぁ。他のみんなも、ミクちゃんもルカちゃんも誘ったら今日はオフだからって来てくれるしぃ、ササちゃんも来るみたいだよ」
ササは僕の妹である。
「え!?あいつ、すんごい猫舌だぞ!?」
「何企んでるんでしょーねぇ」
「あぁ・・・・行くしかないなぁ」
僕はちょっと笑った。
ま、大体こんな風に毎日は過ぎてゆくのです。
ではまた。
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